遺産分割の方法

遺産分割とは相続によって相続人の共有状態となった財産を相続人固有の財産とする手続きです。基本的には相続人間の話し合い(相続人全員の合意がない遺産分割は無効)によって決定しますが、話し合いがまとまらない場合には家庭裁判所で調停等を行う事になります。遺言書がある場合、基本的には遺言書の内容に従うことになりますが、関係者全員の合意があれば遺産分割協議を行う事が可能です。

遺産分割には以下3つの方法があります。

・現物分割:文字通り現在ある財産でもって財産を分割します

・換価分割:財産をお金に換えてそのお金を分割します

・代償分割:特定の財産をある相続人の所有にする代わりに、その差額を他の相続人にお金で支払い公平を保ちます

換価分割・代償分割はあまり聞きなれない言葉かと思いますので少し詳細を記載します。

例えば不動産を例に考えると分かりやすいかと思います。相続人が3名いる場合・・・

換価分割:目的不動産を一度売却してその売却代金を3等分するようなイメージです。実務的には誰か特定の相続人へ一度所有権移転してから売却し、その売却代金を各相続人に振り込みます。(相続による所有権移転登記無しに売却による所有権移転登記をすることは物権変動を忠実に反映していないので不可)

代償分割:上記の設定を不動産のみとして考えます。特定の相続人が目的不動産を相続します。そのままでは相続人間に不公平が起きるので、不動産を相続した相続人からその他2名の相続人にお金を払い公平を保つという感じです。


具体的な遺産分割の方法・内容が決まった後は遺産分割協議書の作成を行う事になります。誰がどの財産を承継するかを具体的に記載します。そしてなにより重要なのは実印で押印する事です。法的には実印で押印することは定められていませんが、金融機関、法務局等に手続きの為、遺産分割協議書を提出する際、実印で押印して有る事、それを証明するために印鑑証明書の提出が求められます。実務上使用できる書類とするため、この点留意してください。


記載日:2023/05/08