用語解説

◆◆◆(登記申請に際しての用語)

◆登記:詳細

不動産登記では登記簿に権利者として名前・住所を載せることです。登記をすることで権利として効力を発生させたり、他人に対して権利を強く主張することができます。また登記済の内容(住所・氏名)に変更が生じた場合にはその変更を登記することが必要です。

◆登記原因証明情報

法務局に登記申請書を提出する際、登記原因を記載した書類の総称です。登記義務者の押印が必要です。以下個別書類の他にも、個別に登記の概要を要約した書類を法務局御中で作成する事も一部可能。

住所変更:住民票・戸籍の附票

氏名変更:戸籍

相続登記:戸籍の束・遺産分割協議書・遺言書

抵当権設定:抵当権設定契約書

抵当権抹消:解除証書・放棄証書

所有権移転:売買契約書

◆登記識別情報通知:詳細

世間的には権利証と呼ばれる重要書類です。

平成18年以降全国の法務局で随時、不動産登記上の権利者になる者に権利者である証として発行されます。12桁の英数字で構成されており、簡単にいうとパスワード的な意味合いを持ちます。紛失しても再発行はされません。登記済証と異なり1つの不動産に1つ発行されます。

◆登記済証

世間的には権利証と呼ばれる重要書類です。

平成18年以前、全国で随時不動産登記上の権利者になる者に権利者である証として発行されていました。この頃、取得した不動産に関する登記済証は現在も有効ですので引き続き大切に保管してください。また、複数不動産で一つの登記済証となっている場合もありますので、この点も注意が必要です。

◆本人確認情報

権利証(登記識別・登記済証)を提出することができない場合に、それに代わる書類として、司法書士が登記義務者本人に相違ない旨の書類を法務局当てに作成します。これが本人確認情報です。その登記を担当する司法書士が作成する事、一定の公的な身分証明書の提示をする事、直接面談(オンライン不可)を行う事が法定されています。

◆印鑑証明書:詳細

個人の場合には市区町村長が発行した印鑑証明書。法人の場合には法務局が発行した印鑑証明書を指します。印鑑証明書には期限のある場合とない場合があります

◆実印

実印の印影を行政機関に届け出ると、それを証明する印鑑証明書が発行されます。実印で書類に押印し、その証明である印鑑証明書を合わせて提示することで本人が間違いなく押印した。つまり本人の意思に間違いないとして強い効力を持つ事になります。一定の書類には実印での押印が法定されています。

◆サイン証明書:詳細:日本人の場合 詳細:外国人の場合

印鑑証明書を提出すべき場合、印鑑証明書を提出できない(日本で印鑑登録をしていない外国人や日本に住所を有しない日本人)時、サインを証明する書類を提出します。サイン証明書はその人が属する国の関係機関で発行されたもので有る事が原則必要です。

◆住所証明情報:詳細

登記権利者の住所を証明する書類です。所有権移転登記を例にとると個人が権利取得する場合には、買主の住民票がそれにあたります。法人が権利者の場合には会社法人等番号を申請書に記載するので物理的な紙面を添付する必要はありません。

◆代理権限証明情報:詳細

代理権を証明する書類です。

任意代理(例:司法書士が手続きを代理するなど):委任状

法定代理(例:親が子を代理するなど):戸籍

成年後見人が代理権を証明:後見登記事項証明

◆住宅用家屋証明書

不動産を購入した場合、その不動産に住むことを示して建物所有権の登記・抵当権設定に係る登録免許税が減税させる為の書類です。区役所・市役所で発行を受けます。旧住所で取得する場合、新住所で取得する場合で取得に必要な書類が大きく異なります。

◆原本還付:詳細

法務局に提出した書類は、一定の処理をして提出することで原本を返却させる事が出来ます。原本還付が可能な書類とそうでない書類があります

◆承諾書

ある登記申請を行う事で、不利益を被る利害関係人がいる場合、登記申請にその利害関係人の承諾書を必要とします。承諾書には印鑑証明書を付け実印での押印が必要です。抵当権抹消における転抵当権者がその例となります。

◆会社法人等番号

法人に付される12桁の数字です。登記申請を行う際にこの会社法人番号を記載するので、住所証明情報や印鑑証明書を物理的な書面として添付することを省略することが出来ます。

◆課税価格

登録免許税を計算する際、課税される元の金額です。

所有権移転:固定資産評価証明書記載の評価額

抵当権設定:債権額

根抵当権設定:極度額

◆登録免許税:詳細①:相続 詳細②:売買

登記申請を行う際に支払う税金です。書面申請する場合には印紙で支払い、電子申請する場合には振り込みで支払います。税率は行う登記申請によって異なります。最低額は1000円です。

◆登記権利者

共同申請において、登記を行うことで形式上有利になるもの

所有権移転:買主

抵当権設定:金融機関

抵当権抹消:登記簿上の所有者

◆登記義務者

共同申請において、登記を行うことで形式上不利になるもの

所有権移転:売主

抵当権設定:登記簿上の所有者

抵当権抹消:金融機関

◆共同担保目録

抵当権、根抵当権など担保権を複数不動産に設定した場合、登記簿の乙区の下に共同担保不動産の一覧表が作成されます。これが共同担保目録です。実務的には敷地権化されていないマンションはこの共同担保目録を敷地確認の参考にする事が出来ます。


◆◆◆(甲区・乙区への各種具体的な登記)

◆抵当権:詳細

金融機関から借り入れを受けた際、その担保として不動産を担保とする時に設定する権利です。抵当権者が金融機関、抵当権設定者が不動産所有者となります。債務を弁済すると金融機関は抵当権に関する自らの権利を抹消する為の書類を発行します。債務が弁済できない際、不動産が換価され抵当権者(金融機関)が優先配当を受けることになります

◆根抵当権:詳細

基本的には抵当権と同じ考え方の担保権です。抵当権との大きな違いは、抵当権が特定債権の担保で有る事と異なり、根抵当権は極度額・債権の範囲・債務者を定め、そこで連続的に発生する複数債務を極度額一杯まで担保することにあります。

根抵当権の元本確定

不特定多数の債権を担保する根抵当権について、担保する債権を確定させる事です。意思表示をもって確定させる場合と一定の法律要件を満たすことで確定する場合があります。

◆地役権

ある土地(要役地)の利用価値を高めるために他の土地(承役地)に設定される権利です。通行、水道管埋設、電線敷設などがその例となります。要役地・承役地それぞれに地役権の旨が登記されます。

◆借地権

土地に建物を建てる為の権利です。建物所有目的の地上権と賃借権が該当します。地上権の場合は登記をしますが、多くの場合賃借権の場合には登記はしません。この場合には建物登記簿に所有者としての登記を必ず行う事が必要です。

◆差押の登記

借金・ローンを返さなかったり、税金を滞納すると債権者(銀行や税務署)の申立により、裁判所主導で強制的に売却する前段階として差押登記が不動産登記簿になされます。債務者は差押登記がなされても不動産を通常の用法に基づいて使用・収益可能ですが、差押債権者に対抗することができません。

◆処分禁止仮処分の登記

争いのある(裁判中など)不動産について、不動産が第三者に売却されてしまうと、裁判そのものが無意味になりかねないとうな場合、争いのある不動産の当事者を固定し登記請求権を保全するための登記です。裁判所に申し立てて行います。この登記の一番の目的は、裁判確定後に処分禁止仮処分に遅れる登記を単独で抹消するができます。これは非常に有効かつ強力な効力です。

◆◆◆(登記簿に関する説明)

◆表題部

登記簿(登記情報)の最上段のブロック:で以下記載されている部分

土地:所在・地番・地目・地積 等

建物:所在・家屋番号・種類・構造・床面積 等

この部分の登記は土地家屋調査士が担います。

地目が農地の土地を売買等により移転する場合、農地法の許可が必要です。

◆家屋番号

表題部に記載されています。法務局が家屋一つ一つ識別するために、家屋ごとに付した番号です。住所と全く同じ場合もありますが、住所と微妙に異なる場合もあります。

◆甲区

登記簿(登記情報)で所有者について記載されたブロックです。歴代の所有者が確認できます。

◆乙区

登記簿(登記情報)で所有権以外に記載されたブロックです。特に他人の権利がなければ記載はされません。甲区の次のブロックがこれに該当します。抵当権、根抵当権、地上権などの所有権以外の権利が登記されます。