縁組と相続関係


縁組と相続関係について整理してみましょう。

縁組というと時代劇などではたまに結婚を指して縁組というような言葉を使っていることを見かけますが、現代では大きく意味が異なります。簡単にいうと親子関係にないものが法律上の親子関係を結ぶといったイメージです。普通養子縁組と特別養子縁組の2つの制度があります。

1.普通養子縁組について

●縁組意思の合致


→真に親子関係を築く意思がなければ縁組無効


判例1)縁組に関する届け出をする意思があっても真に親子関係を築く意思がなければ、縁組は無効。

判例2)専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

●縁組障害がない事


→養親が未成年者である場合は縁組不可

→尊属・年長者を養子とできない

→後見人・被後見人間の縁組は家庭裁判所の許可が必要

→養子が未成年の場合は家庭裁判所の許可が必要

例外:自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合

→配偶者のあるものが未成年者を養子とする場合:配偶者と共にしなければならない

→配偶者のあるものが縁組をする場合:配偶者の同意をえなければならない

→養子となるものが15歳未満の場合にはその法定代理人が代わって縁組の承諾をする


これらの要件と形式的に戸籍法で定める届出をすることにより、普通養子縁組が成立。養子は養親の氏を称し、養親が亡くなった場合に相続人となります。つまり養子は実親と養親の両方の相続人となります。特別養子縁組の場合は、実親について相続権がないのと対照的です。

2.離縁

養子を解消する【離縁】を行った場合、相続関係はどうのようになるのか。特別養子縁組、普通養子縁組のいずれの場合も養親との法的な関係は消滅する為、養親の相続において相続人になる事はありません。特別養子縁組において離縁が成立した場合は実親との関係が復活します。

つまり、離縁した場合は【特別養子縁組】【普通養子縁組】いずれの場合にも実親の相続においてのみ、相続人になります。


3.代襲相続と縁組

養子の子供には代襲相続するのでしょうか。縁組前に生まれていた子供は代襲相続相続しません。縁組後に生まれた子供は代襲相続の対象となります。

4.最後に

縁組・離縁は親子関係の発生、解消と合わせて相続関係にも影響を与えることがお分かりいただけたかと思います。相続関係正しく理解することが、相続発生後の諸手続きの一歩となります。


2023/09/01