権利証紛失の事前通知制度

記載日:2023/05/31


権利証(登記済証・登記識別情報通知)を紛失した場合、所有者で有る事を証明する書類が整わないことになります。この場合でも必要な登記を行う事はできますが、手続きは煩雑となり方法は2通りあります。

①事前通知制度を利用する

本人確認情報を利用する。

ここでは、①について詳細を記載します。法務局の立場で見ると、権利証がないけれど登記義務者は本物かと疑念を抱くことになります。この時法務局は、権利証が提出できない登記義務者の登記上の住所宛てに、事前通知(本当にあなたは登記義務者ですか、権利を失う登記申請がされているが間違いないですか、と尋ねるような手紙)が送付され押印(実印)して返送することで、登記が受理されるというのがその概要です。所定期間内に返信がなければ当然登記は却下されます。

①と②の実務的な例は、

①:抵当権抹消登記を行う場合:抵当権者(金融機関)の権利証を債務弁済後、登記用に銀行から渡されたが紛失

→元債務者の書類紛失の度に、銀行が本人確認情報の作成に協力するのは負担が大きい

②:所有権移転登記を行う場合:売主が権利証を紛失、買主は金融機関から融資を受けて物件を購入する

→融資実行後に法務局からの事前通知に、売主が万一事前通知に非協力になると金融機関が担保を取得できない可能性がある

一番なのは権利証をきちんと保管される事かと存じます。